■名前(あ ま つ き 紺鴇)











「着物って…っ…」

「…ん!」

「ほんとエロいよな」

 耳の中に直接語られる言葉は、それだけで鴇時の体を震えさせる。

 息を吹き込みながら囁くこの低音は、頭のてっぺんからつま先まで一気に電流が走るように体を駆け巡る。

「しの…」

「紺だろ」

「も…やめ…」

「いい加減、紺って呼べって」

 篠ノ女の熱い性器が太ももに当たるたび、鴇時は自分でも分からない気持ちがこみあげる。

 期待するような恐ろしいような…。

「あ……」

 ふと体の上から重さが消えた。

 どうしたのかと目を開けると思ったよりもかなり近くに篠ノ女の顔があった。

 乱れた髪が汗で貼りついている。

 ぼんやりとその顔を見ていると、篠ノ女は無言で体を起こし、鴇時の膝を大きく広げる。

「っ」

「もう良いか?」

 そっと訊ねるその声に、鴇時は思わず目を伏せた。

 恥ずかしさと期待と怖さで声が出せない。

「ゆっくりするからな」

 そういうと、膝をぐっと前に曲げられて、体の奥の秘められたところに質量を持ったものがあてがわれるのを感じた。

「んーっ」

「歯を食いしばるな」

 そう言って篠ノ女の硬い親指が鴇時の閉じた唇をなぞる。

「は…ぁ…」

「苦しいか?」

 労わるようなその声音に、なんだか切なくなって涙が滲んできた。

「しのの…め」

「ん?」

 負担を掛けないようにか、篠ノ女はことさらゆっくり体勢を傾け、鴇時を覗きこんでくる。

「お腹の中…凄く…熱い…」

「っ!」

「ん!」

 鴇時の一言で紺は突然顔を歪めた。

 篠ノ女の体が動いて鴇時は、体内に収まっている熱いものの存在を強く感じた。

「くっ」

 汗を流し顔を歪め、それでも鴇時を気遣い動かずに待つ篠ノ女に、鴇時は目を開けてそっと促した。

「動いて良いよ」

「と、鴇…」

「お願い…動いて…」

 小さく呟くと、篠ノ女は目を見開き、そしてふっと目を細めて笑った。

「煽るなよ」

 めちゃくちゃにしちまうだろ。

 そう言った篠ノ女は、鴇時の肩を抱いて、最初はゆっくりと。やがて強く突き上げ始めた。

「あっ…んっ…んーっ…」

「はっ…はっ…鴇っ…鴇っ…」

「あっ…こ、紺!紺っ」

 呼ぶのを躊躇していたのが嘘のように、鴇時は篠ノ女に応えるようにその名を何度も呼んだ。

 やがて頂きから二人同時に飛び降りる時、互いを呼ぶ声はそのまま互いの唇へ消え去った―――。











END














エロ第二弾です(笑)これもペーパーの裏でした。
こうやってペーパーの裏にSSを書き下ろすとサイトのSSとして
更新出来るからお得だなぁ…(笑)しかも今回はエロ度が
ちょっと高めです。ご注意!R18です。
なんか「とうとう書いちゃったなぁ…(汗)」という感じです。
でも一度書いたらもう平気な気がする。自分でもその根拠が
良く分かりませんが(笑)そのうちペーパー裏じゃなく新刊で
エロ書きたいです(笑)←まだ言ってる
いつか二人の誕生日ネタとかも書きたいんだけど…。

(2012年05月03日初出)




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